韓医学ツアー・体験記②

2日目:韓医大学病院へ

朝からガイドさんが「パリパリ!パリパリ!」と何度も言うほど2日目は盛りだくさん!
ちなみに「パリパリ」とは「早く早く」という意味です!(^^)!意味は分からなくともなんとなく雰囲気で伝わりますね。
韓国の医療制度は2元制(西洋医療と韓国医療)をとっています。すなわち医師は西洋医師と韓医師が存在し、西洋医は韓方(韓薬と鍼灸)はできず、韓医師は西洋治療はできないとのこと。ただ、今回訪れた韓医大学病院では検査関係などは西洋医療と「共診」するとのこと。「共診」という言葉も珍しいですね。!(^^)!

ガイドさんの説明では、日本では資格が不要な、いわゆるエステも美容皮膚師という国家資格があり美容エステ、脱毛などを行うことができる。各医療職の職域に対して線引きがあいまいな時や領域を侵されることに対してデモ活動や裁判を行ってはっきりさせるそうです。この辺は、日本の無資格・無免許者が跳梁跋扈し、国家資格なんてあってないようなもの、ゆるゆる規制とは大きな違いですね!(怒)

制度の中で面白いと思ったのが、韓医学においての推拿(すいな)療法(中国でいえば按摩含む手技療法、韓国語ではツナと言ってました)はカイロプラクティックをさし、韓医師ができる施術になっています。自国の伝統的な技術だけでなく他国の良いと思われる技術を制度に組み入れる柔軟な姿勢は素晴らしいと思いました。このカイロプラクティックをする権利も西洋医師との裁判により勝ち取り、そればかりか保険適用にもなったとか。

まず通されたのは調剤薬局でした。薬局といっても韓医の薬局。壁一面の百味箪笥。この薬剤師さんもきっと韓医薬専門の薬剤師さんなのでしょう。

もっとも高価な生薬が鹿茸(ろくじょう)(鹿の角)、随分大きいのでヘラジカでしょうか。赤いとヘモグロビン成分が多くより高価とのこと。産地はロシア産が多いために戦争中のロシアから入ってこず、高騰しているそうです。

韓方薬局のあとは各フロアー見学。皮膚科、婦人科などとフロアごとに区分されていて、入院患者さんの多くは婦人科や整形外科、脳神経外科でリハビリを受けていました。リハビリ室はベッド20床あり、やはり鍼灸や手技療法を受ける患者さんが多くおりました。

この韓医大学病院の敷地にも海外の方が治療を受けられるような施設や、韓医の博物館もあり、韓国が自国の伝統医学を産業としメディカルツアーに取り入れているのは感嘆しました。日本でもメディカルツーリズムが言われてますが、それは西洋医学中心の治療あり、伝統医学は念頭にはないでしょう。残念な話です。

町の韓医院へ

さてガイドさんに急かされるように最も楽しみにしていた個人の韓医診療所へ

イ・ジェス韓医院

オンラインセミナーではイ・ジェス先生は韓国生薬についてお話してくれました。

医院は雑居ビルの中にあり、入ると受付の女性が出迎えてくれました。応接室でお茶を飲んでいると、イ・ジェス院長が「私たちが出会ったのは、片方の思いだけでは会えないのです。双方の会いたいという思いがありこの場が生まれています。これが「縁」です。この縁が相手の治す力を引き出す力の元になります。皆さんは海を渡ってまでここまで来られた。それはとても素晴らしいことです。きっとこの縁は良いものになると確信しています。」

この言葉にはとても痺れました。

アフリカにも似たようなことわざがあります。「山と山は出会うことはできないが、人と人は会うことができる」
ガイドさんからはとてもエネルギッシュで話好きな先生よ、と事前に聞いていた情報通り、まばたきをせず、じっと見つめながら話してくる。(こ、怖い)望診(患者を観察する診察方法)の一種かと思うほど。(*_*;

鍼灸施術室は5-6台のベッドがあり数名の患者さんが治療を受けていました。

吸角療法(ガラスまたはプラスティック球を陰圧状態にして、瀉血した場所にかぶせ血液を吸い出す)や赤外線をあてていました。鍼は鍼管(日本の杉山和一が広めた)を使っていたので、鍼管はなぜ使用しているのか?を聞くと、衛生面で評価しているとのこと。杉山和一や日本のはりへのことは知らないようでした。

新体新気運ハンミル韓医院

2院目も雑居ビルの中にあります。ウォン・ウンジュ先生には「韓国養生の世界(デトックス)~日常に生きる韓医学の知恵・薬膳・お茶など~」というテーマで学ばせていただきました。老廃物の除去、新陳代謝の重要性を教えていただきました。

ここでオヤッと思ったのが、患者さんが来院時に保険証のようなものを出さずにタブレットに番号を押して、受診されてました。韓国の医療はすでにオンライン化されているとのことです。

こちらの医院では特に食事の改善や新陳代謝の活発化を重視しているような印象を持ちました。ここでツアー参加者3名は治療を受けるため一時お別れ、私は友人と次の院へ 

チェ・ジェヨン韓方医院

チェ・ジェヨン先生(テグ市スソン区韓医師会会長)には「韓国鍼灸の世界」という内容で講義をいただきました。今回もっとも楽しみにしていた、韓医院です。

チェ先生の講義で印象に残っているのは、ご自身の流派の修行時に師匠の海外奉仕活動に帯同することが条件だったとのこと。キリスト教が多いといわれる韓国には海外のネットワークが充実しているのでしょうか。

ここでは実際に治療を受けました。

まず、頭部手足にセンサーをつけ、結構長い時間(10分くらい)をじっと座っていました。画面には酸素量や心拍、心電図など表示されていました。

終わると診察室へ移動し問診と脈診(この時の私の症状は風邪のあとの咳が残っているような状態でした)、先ほどのデータを見ながら私の五臓六腑の状態の説明を受けました(いわゆる東洋医学的な五臓の状態)

脈診は対面姿勢で非常に軽いタッチでした。いわゆる「浮」の部分の脈状をみていました。

その後立位で脊柱の評価からアジャストベッドでうつぶせになり、下肢の徒手検査を行い仙腸関節の調整を行いました。(推拿療法=カイロプラクティック)
手による矯正というよりはベッドの骨盤が当たっているところが「ガチャン、ガチャン」と上下に動き腰椎を矯正する方法でした。

手技のあとは鍼灸治療へ。仰向けの状態から足三里、太衝と足から鍼をして、(太さは日本の3番くらいを鍼管を使わずに)百会など頭部に数本の置鍼。置鍼時間は比較的長く20分くらいに感じました。

置鍼中は足元に赤外線をあてて、心地よく過ごしました。鍼は中国のやり方と同じように「証」を決めツボに鍼を打ち、韓薬と鍼灸の治療法に整合性を持たせていると感じました。

寒い国柄でしょうか、ベッドは温かく、赤外線でも温めるので気持ちよかった

日本の鍼灸師は鍼灸しかできない分、より細かく、より深く考えながら鍼をしているなあ、という印象を持ちました。
治療のあとは韓薬を処方され、まずは待合室で飲み、家で飲むようにパックのものをいくつかいただきました。このようなパック詰めも生薬の配合もクリニック内で行うそうです。味はほんのり苦く、やや甘い、意外と飲みやすかったです。

ちなみに友人はカラダの状態に力がないとのことで運動を勧められていました。(*^^*)

冷たく保冷してました。

大邱の薬令市へ

大邱の薬令市は歴史が長く、薬令市の周辺には韓医学関係のクリニックや薬局、医療関係の卸会社などが密集していました。看板はすでてハングル文字で何が書いてあるかは不明ですが、いわゆる問屋街という事は雰囲気でわかります。

拱辰丹(コンジンタン)を3代作り続けているお店から、東医宝鑑の薬草を全て採集し植物図鑑を作った方の薬局を見学しました。

ここでも、立派な博物館があり、韓国の若者がたくさん見学に訪れていました。日本のこのような場所は思い浮かびません。

夜は一同集まり食事会

今回2日目からテグ市の医療推進課の課長、スソン市の医療観光推進課の担当者が見えてました。
なんと、今回のツアーの車代やガイド代は行政が手当てしているとのこと。
行政が伝統医学を産業とみなし、これを積極的に支援している!非常に驚くと同時にこれが韓国経済の躍進につながっているのか、エンタメ、コスメ、美容、グルメなど毎日のように韓国の話題にふれるのは官民一体となった施策の結果なんですね。