「なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚める」「朝起きても疲れが取れない」――そんな睡眠のお悩みがあります。
睡眠障害とは、睡眠の質や量、あるいは睡眠のタイミングに問題が生じる状態を指します。これにより、日中の疲労感や集中力の低下、生活の質の低下などが引き起こされることがあります。代表的な睡眠障害には、以下のようなものがあります。

  1. 不眠症 – 入眠困難、途中覚醒、早朝覚醒などが続く状態。
  2. 過眠症(ナルコレプシー) – 強い眠気や突発的に眠ってしまう症状が特徴。
  3. 睡眠時無呼吸症候群 – 睡眠中に呼吸が一時的に止まることがある。
  4. レム睡眠行動障害 – 夢を見ている最中に体を動かすことがある。
  5. 周期性四肢運動障害(むずむず脚症候群) – 脚の不快感で睡眠が妨げられる。

睡眠障害は、ストレス、生活習慣の乱れ、環境要因、身体的・精神的な健康問題などさまざまな要因によって引き起こされることがあります。治療方法は障害の種類や原因により異なりますが、改善には生活習慣の見直しや鍼灸の治療が有効な場合があります。不眠症とは

  • 入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒などの睡眠問題があり、そのために日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気
  • 一般成人の30~40%が何らかの不眠症状を有しており、女性に多い
  • 不眠症状のある方のうち、慢性不眠症は成人の約10%にみられる。

★不眠の原因

●身体的要因:疼痛性疾患、発熱性疾患、痒みを伴う状態、頻尿、呼吸器疾患など
●生理学的要因:騒音、光、不快な温度、時差ぼけなど
●心理学的要因:ストレス、緊張、親族の死、結婚や子供の出生、金銭面でのトラブルなど
●精神医学的要因:うつ病、統合失調症、PDSD、痴呆など
●薬理学的要因 アルッコール、カフェイン、ニコチン、ステロイドなど

★不眠症の診断基準を要約すると

(1)不眠と日中の不調が週に3日以上続く
  3か月以上続く場合:慢性不眠障害
  3か月未満の場合:短期不眠障害
(2)日中の機能異常やQOL低下がみられる
(3)睡眠困難に関連した多彩な心身の不調を訴える
※不眠症状のみで生活機能障害がない場合には不眠症と診断されない

★不眠症の症状

●入眠困難:本人が30~60分以上寝付けづず苦痛と感じる
●中途覚醒:一度入眠しても、翌朝起床するまでに何度も目が覚める
●早朝覚醒:通常の起床時刻の2時間以上前に覚醒し、その後入眠できない
+日中の症状 倦怠感、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振 など

★睡眠障害と東洋医学

東洋医学では、睡眠は“気(き)”や“血(けつ)”の流れと深く関係していると考えられています。ストレスや自律神経の乱れ、血流の滞りなどが原因で、質の良い睡眠が取れなくなることがあります。鍼灸施術では、身体のツボを刺激し、自律神経のバランスを整え、心身をリラックスさせることで自然な眠りへと導きます。

★睡眠障害の主な原因

睡眠障害は、さまざまな要因によって引き起こされます

  1. ストレスや精神的負担
    仕事や家庭環境、人間関係のストレスが自律神経を乱し、交感神経が優位になることで寝つきが悪くなります。
  2. 血流の悪化
    夜更かしや不規則な食事、運動不足が体内リズムを狂わせ、睡眠の質を低下させます。
  3. 生活習慣の乱れ
    夜更かしや不規則な食事、運動不足が体内リズムを狂わせ、睡眠の質を低下させます。
  4. ホルモンバランスの乱れ
    更年期やホルモンの変動により、眠りが浅くなったり、頻繁に目が覚めることがあります。

★鍼灸による睡眠障害へのアプローチ

当院では、患者様の体質やお悩みに合わせた施術を行います。

  1. 自律神経の調整
    鍼やお灸を使い、交感神経と副交感神経のバランスを整えます。
    ツボ(百会、神門、三陰交など)を刺激し、リラックス効果を高めます。
  2. 血流改善
    首・肩のこりをほぐし、血流を促進することで、脳と身体をリフレッシュします。
    冷えやむくみを解消し、睡眠中のリラックス状態を促進します。
  3. 心身のリラックス
    心地よい刺激でストレスを緩和し、リラックスできる状態へと導きます。
    深い呼吸を促すツボ(合谷、太谿)を活用し、精神的な落ち着きを取り戻します。

★研究による鍼灸の有効性
(東京有明医療大学 松浦悠人先生による)

睡眠障害に対する鍼灸治療の効果についての研究によると、特定のツボ(百会、神門、失眠など)への施術が、睡眠の質を向上させることが示されています。また、頭部への電気鍼(EA)治療がうつ病患者の睡眠障害に及ぼす影響についても研究されており、鍼灸による刺激が脳のリラクゼーションを促し、入眠を助ける可能性があることが報告されています。
さらに、鍼灸治療によってメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が促進される可能性があり、睡眠の質向上に貢献することが期待されています。

睡眠障害の改善に効果的とされる以下の治療法が推奨されています。
交感神経の過活動を抑制し、副交感神経を活性化することで、深い眠りを誘発。
・ 百会・神門・失眠のツボへの刺激
睡眠の質を向上させ、リラックス効果を高める。
・ 自律神経調整を目的とした全身施術
肩こりやストレス緩和を含め、全身のバランスを整える。


こんな症状がある方におすすめです。

  • 寝つきが悪い、または眠りが浅い
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 朝起きても疲れが取れない
  • 日中に強い眠気を感じる
  • ストレスや不安が強い
  • 手足の冷えや血行不良が気になる
  • 自律神経の乱れを感じる